2020年6月30日火曜日
日本人元島民が記憶する「軍艦島」での虐待
2020年6月23日火曜日
戦後の労働省「戦時中は朝鮮人労働者を差別待遇」
2020年6月22日月曜日
軍艦島の展示について日本政府がかつて表明したこと
2020年6月21日日曜日
高村薫「こじれる日韓 和解の道探る責務」
2020年6月9日火曜日
軍需会社の労働者はすべて「徴用工」となった
軍需会社徴用規則左の通定む
昭和十八年十二月十七日
厚生大臣 小泉親彦
〔第一~第三条略〕
第四条 指定軍需会社の生産担当者及当該軍需会社の営む軍需事業に従事する者は左に掲ぐるものを除くの外徴用せられるたるものと看做す指定軍需工場の生産担当者及当該指定軍需工場に於て行ふ軍需事業に従事する者に付亦同じ
〔一~十四の各号については略。陸海軍軍人や年齢14歳未満の者、常勤の従業委員以外の者などを除外対象とする規定〕
〔第五~第七条略〕
第八条 前条の徴用告知書には左に掲ぐる事項を記載すべし
一 徴用せられたるものと看做さるべき者の氏名、出生の年月日及本籍
二 従事すべき総動員業務を行う指定軍需会社又は指定軍需工場の名称
三 従事すべき総動員業務、職業及場所
四 其の他必要と認むる事項
〔第九~十四条略〕
附則
本令は公布の日より之を施行す
労働力の不足のなかで戦争遂行のための生産を維持するため、日本帝国政府は、1943年末、新たな施策を打ち出した。政府が指定した「軍需会社」「軍需工場」の従業員を、原則すべて、国家総動員法第4条にいう徴用された者と見なすというものである。それを規定した厚生省令が、この軍需会社徴用規則である。これによって徴用されたとみなされた者は、勝手に職場を移れないし、命じられた業務を続けないと、国家総動員法違反で懲役1年ないし罰金1000円以下の処罰の対象となった。
しかも、それまでの国民徴用令による徴用では、徴用期間は通常2年とされていたが、軍需会社徴用規則によって、軍需会社等の従業員を徴用されたと見なす期間は無期限となった。第8条には、期間について記載する規定がなかったのである。
なお、軍需会社の指定は、第一弾として1944年1月18日に行われた。指定された会社の名前は『官報』に掲載されている(軍需省・陸軍省・海軍省・運輸通信省告示第1号、1944年1月18日、〈リンク〉)。そこには、2018年10月30日の韓国大法院判決で勝訴となった原告が務めていた日本製鉄株式会社という文字も確認できる。
つまり、日本製鉄に勤務していた原告たちは、厳密な意味での「徴用工」にほかならない。「彼らは徴用工ではない」と語った安倍首相らの言葉は、全くの間違いなのである。
2020年6月8日月曜日
「5日以内に労働者を集めよ」と総督府無理強い
労務動員実施計画に依る朝鮮人労務者の内地移入斡旋要綱(1942年)
労務動員実施計画に依る朝鮮人労務者の斡旋に依る内地移入に関しては別に定むるものを除くの外本要綱に基き之を実施す。
第一 通則
本要綱に依り内地に移入せらるべき朝鮮人労務者は総て之を労務動員産業に従事せしむるものとす。
本要綱に依り内地に移入せしむべき朝鮮人労務者の数は毎年度労務動員の実施計画に示さるる数を限度とするものとす。朝鮮人労務者にして出動期間満了し帰郷したるものの補充に付ては爾後同数を本要綱に依る方法に依り移入せしめ得るものとす。
本要綱に依り斡旋したる朝鮮人労務者の処遇に付ては出来得る限り内地人労務者との間に差別なからしむるものとす。
本要綱に依り斡旋する朝鮮人労務者の出動期間は原則として二箇年とするものとす。
第二 斡旋の申込及び処理
〔一~四については略〕
五、職業紹介所及び郡島道より前項の割当通牒を受けたるときは五日以内に更に邑面別選出人員を決定し直に別紙第六号様式に依り邑面に通牒すると共に別紙第七号様式に依り道に報告するものとす。
六、職業紹介所及府邑面は常に管内の労働事情の推移に留意精通し供出可能労務の所在及供出時期の緩急を考慮し警察官憲、朝鮮労務協会、国民総力団体の他関係機関と密接なる連絡を持し労務補導員と協力の上割当労務者の選定を了するものとす。
〔以下略〕
●解説
赤字は当サイトによる。いわゆる「官斡旋(あっせん)」の手続きや留意事項を記した、朝鮮総督府の公文書。1944年9月から始まる、国家総動員法・国民徴用令による「徴用」だけが政策的な動員だとする論者もいるが、それは無理な解釈である。この文書の第二の六に記されているように、官斡旋の段階であっても、地方末端の役場の役人や警官が、企業の派遣した募集担当者=労務補導員と協力しながら、動員すべき者を確保することを指示している。そもそも「官斡旋」という言葉の意味を考えれば、行政が関与していることはすぐ分かる。
また、第二の五からは、邑と面(日本の町と村にあたる役場)が、郡・島・道(道は都道府県レベルの地方行政機関、郡と島は邑・面の上部にある地方行政機関の名称)から指示を受けたら、日本内地に送り出すべき労働者を5日以内に選んでいたことが分かる。
現実的に考えてみよう。見ず知らずの村にやってきた企業の募集人が、たった5日のうちに、「ちょうど日本に働きに行きたいと思っていました」「炭鉱でも土木工事現場でもいいからともかく仕事をください」という人をどれだけ探し出せるだろうか。そもそも交通不便な村のなかを回ること自体が容易ではなかったはずである。また、そこの村人も、たとえ「今の生活では食っていけない」「日本で金を稼げるのなら行ってみたい」と漠然と考えていた人であったとしても、いきなり5日後に日本に行けと言われても困ったはずだ。
いくらのんびりした村であっても、1週間後にやる予定の農作業もあれば、家族の結婚や出産といった予定も、それなりにあってもおかしくない。結局、本人の意思とは無関係の強制連行で人集めをやるほかなかったのである。
なお、通則の三で、わざわざ、朝鮮人労働者について「出来得る限り」日本人と差別がないようにと述べているのは、実際には差別が問題になっていたからだと推測できる。また通則の四では、出動期間は原則2年としているが、実際には期間延長を強いられたケースが多発したことが知られている。
「夜襲」的動員:小暮泰用「復命書」⑤
「労働力供給は頭打ち」:小暮泰用「復命書」④
「官斡旋は徴用と同じ」:小暮泰用「復命書」③
「家族は悲惨な状況」:小暮泰用「復命書」②
「人質的略奪的拉致」:小暮泰用「復命書」①
2020年6月7日日曜日
「連行したが全員逃亡」:警察官の回想③
「家族は号泣に次ぐ号泣」:警察官の回想②
(金剛会編『江原道回顧録』同会刊、1977年)
「説得、半ば強制的」: 警察官の回想①
(金剛会編『江原道回顧録』同会刊、1977年)
「学校に行ける」とだますー名古屋高裁
http://justice.skr.jp/judgements/59-2.pdf
(「法律事務所の資料棚」)