2020年6月22日月曜日

軍艦島の展示について日本政府がかつて表明したこと

 201575日の世界遺産委員会における佐藤地(さとう・くに)ユネスコ日本政府代表部大使発言(日本語訳)

議長、
 日本政府を代表しこの発言を行う機会を与えていただき感謝申し上げる。
 日本政府としては、本件遺産の「顕著な普遍的価値」が正当に評価され、全ての委員国の賛同を得て、コンセンサスで世界遺産登録されたことを光栄に思う。
 日本政府は、技術的・専門的見地から導き出されたイコモス勧告を尊重する。特に、「説明戦略」の策定に際しては、「各サイトの歴史全体について理解できる戦略とすること」との勧告に対し、真摯に対応する。
 より具体的には、日本は、1940年代にいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である。
 日本はインフォメーションセンターの設置など、犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む所存である。日本政府は、本件遺産の「顕著な普遍的価値」を理解し、世界遺産登録に向けて協力して下さったベーマー議長をはじめ、世界遺産委員会の全ての委員国、その他関係者に対し深く感謝申し上げる。




(出典:内閣府ホームページ リンク

●解説

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は201575日午後、福岡など8県の23施設からなる「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の世界文化遺産登録を決めた。韓国側は長崎県の端島(いわゆる軍艦島)などの施設で朝鮮半島出身者が強制労働させられたことを指摘し、協議を続けていたが、日本側が戦時中の徴用政策を認め、朝鮮人犠牲者を記憶にとどめる適切な措置をとると約束し、決着した。
上記の佐藤地代表部大使の発言はその際のもので、これを受けて、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外務第2次官は、「日本政府が表明したことを誠実に実行に移すと信用した」として、端島を含む世界文化遺産登録に賛成した。
産業遺産情報センターは、この決定を受けて設立された施設ということになっている。