2020年6月7日日曜日

「外交保護権の放棄」と外務省引き継ぎ

外務省条約局の担当者・小和田恒書記官聴き取り

 「原則は全部消滅させるのであるが、その中で消滅させることがそもそもおかしいものがある」

 「理論的にいってどこまでのものを消滅させ、どこまでのものを生かしたらいいのかという問題と、政策的にいってどこまでのものを消滅させなければいけないのかという問題である」

「『請求権は放棄する』と書き、説明として外交保護権の放棄であるということにした」

「日韓会談における請求権・経済協力協定第2条に関する交渉」
-合意事項イニシアル後協定調印まで-追録 小和田恒書記官談話
アジア局東北アジア課内交渉史編纂委員会 19697

●解説

 日韓条約交渉の際、1959年から65年まで外務省条約局法規係に勤務し、第5次会談から7次会談まで請求権などを担当した小和田恒への聴き取り記録の抜粋だ。

 小和田は、外務事務次官、駐米大使、国際司法裁判所裁判官と、日本の外交官として華々しいキャリアを積んだ人物。雅子皇后の実父でもある。

 この資料の存在は、情報公開請求によって明らかになった。1969年2月、外務省の交渉史編纂(へんさん)委員会がまとめていた「日韓会談における請求権・経済協力協定第二条に関する交渉」に関連して、追補として談話を聴取したもので、それを外務省の正規の引き継ぎ文書「交渉史」の追補としている。そこに外務省の本音が現れていることは言うまでもないだろう。リンク(「日韓市民でつくる 日韓会談文書・全面公開を求める会」 「国交正常化の記録 総説」回顧録等よりダウンロード、PDF作成)